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2009年2月号

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master+mind+R第9弾!

森重樹一(The DUST'N'BONEZ/ZIGGY/THE PRODIGAL SONS)
+ kyo(BUG/D'ERLANGER)
+tsubaki(8-eit)


4/5にSHINJUKU LOFT 10TH ANNIVERSARYとしての公演も大決定!
ジャンル・世代を飛び越え、長きに渡って第一線を走り続ける事の出来る理由。
それは一体何なのか。
シンガーとしての真髄に迫った!!
(text:どうきょうみゆき/pix:アカセユキ)

出会い
森重 kyoちゃんとは顔見知りになってから結構経つよね?
kyo そうですね、多分20年近く経ってると思います。
森重 アマチュアの時に結構似たような場所で活動してたから、その時から存在は知ってたんだよ。
kyo 初めてお話しさせてもらったのは、確かD'ERLANGERで出たロクf(ロッキンf)の「エムザ」っていうイベントだったと思うんですよね。
森重 あー! はいはい! 懐かしいねー!
kyo あれが確か1989年とかなんで、ちょうど20年前ですかね。
森重 D'ERLANGERの事は、当時バンドの取り巻きのファンの子達からも何気に話は聞いてたりしてたから存在は知ってた。そのイベントって確かたくさんバンドが出てたよね?
kyo そうでしたね。
森重 バンドをやってる子が多い中で、俺あんまりバリバリのメタルとかよく分からなかったんだけど、割とナリの派手な人が好きだったんで、そういう意味ではkyoちゃんは全然メタルじゃないし派手だしさ(笑)。一郎(瀧川一郎)は前からちょこっと知ってて、あいつがまだ16歳ぐらいの時、俺が20歳ぐらいの時にやってたバンドを観に来てくれたりとかしてた。ヤツは広瀬JIMMY君(広瀬さとし)のボウヤだったりしてたから“俺より世代が下の人達かな?”っていう印象はあったけど、いつ会っても印象良かったし、何より“派手な格好してんなぁ”って思ってたね(笑)。
一同 (笑)
森重 でも今はほら、みんな普通に派手だからさぁ。歌舞伎町とか歩いてたら俺なんかもう人混みに埋もれちゃうぐらいだからさ!
一同 (笑)
森重 昔はそういう意味で言ったら、金髪にしてる子も少なかったしね。
kyo あとロックな人しか長髪にしてなかったし。
森重 そうそう! 逆に今はロックな子が髪の毛短かったりするのが普通だったりするもんね。まぁでもホント、典型的なロックっていう感じだったよね。
kyo そうですね。俺の森重さんの印象は“すごい穏やかに優しく話してくれる方”という感じで、“良かったなぁ”と。今言ったら失礼かも知れないんですけど、様々な武勇伝も聞いてましたから(笑)。まだ面識がない時に『それいけロックンロールバンド』の発売記念ライブをLa.mamaでやったのを俺観に行ってるんですよ。その時がキレられているライブで(笑)。すごくお話ししたかったんですけど、その印象が強かったのでどう近づいていいか分からない感じだったんです。それまでってハードロックやヘヴィメタルのムーヴメントって関西からだったんですけど、ZIGGYは…バッドボーイズロックって言っていいんですかね?
森重 うん、そうだね。
kyo そういうのって関東の方からだったんですよね。俺はその当時、“ロックだな”って憧れた関東のヴォーカリストって、森重さんが最初だったんで。だから凄くお話しをしたかったんですけど、なんせ武勇伝っていうのはだいたい大きくなって伝わってくるのでね(笑)。でも話してみたらその印象とはまるで違って。今思うと子供の相談だったと思うんですけど、歌のちょっとした事、例えば「どうしたらああいう声が出るんですか?」みたいな話をした時にもちゃんとレクチャーして下さったり、という印象が残ってます。
森重 基本的に俺も先輩にはすごい良くしてもらったしね。確かにいろんなロックの先輩でいろんな逸話を持っているような人もいっぱいいたし、そういう意味では“おっかないなぁ”って思うような人もいたけど、懐に入れてくれるとやっぱり全然違うんだよね。俺、今年46歳になるんだけど、四半世紀以上歌っている訳じゃない? 残っている人って、歌い手としてすごいとか、ギタリストとしてすごいっていう前に、人としてちゃんとしてるっていうのがもう絶対だなって思うよね。その当時kyoちゃんと初めて会った時ぐらいって、外面しか見てない人に対しては俺バリアを張ってたと思うんだよ。でも共通言語があったり、kyoちゃんも千葉だったり俺も三多摩だったりっていう、東京っていうのを囲んで関東という一つの文化圏の中で、同じ中にいる仲間だっていう意識もやっぱりあったし、年齢も俺の方がちょっと上だっていうのもあったから、すごい礼儀正しい後輩だなって思ったね。
kyo そうですよね、共通言語でまずハノイ・ロックスがあったのが大きかったですよね!
森重 そうそうそう! 当時ハノイ・ロックスって、今でこそ伝説のバンドだけど、俺が観に行った当時の渋公(渋谷公会堂)って、前の方5列ぐらいしか入ってなかったからね。1列目のチケットを持ってたんだけど、そのチケットを持っている友達とたまたま会いそびれちゃって、仕方なく当日券買って入ったんだよ。当時は転倒して人が怪我したりっていうような事故がまだなかったから、椅子なんかあってもなくてもどこでも前の方に行けちゃうのね。渋公も椅子があったんだけど、関係無しに前の方まで行って観てた覚えがある。そのぐらい入ってなかったの。だから、そういうマイナーなハノイ・ロックスを好きだっていうだけで、なんかもうめちゃめちゃ仲間なような気がしたんだよ(笑)。
kyo それこそ「その服どこで買ったんですか?」とか聞いてましたよね(笑)。
一同 (笑)。
tsubaki いやー、僕にとってお二方はもう大先輩なんですけど、何なら僕も20年前から勝手に知っているんで(笑)。
森重 あれ? 今いくつ?
tsubaki 僕、今36歳です。なので、森重さんとかkyoさんとかは、昔から“雑誌に出てる方達”っていう印象です。ちなみに昔、kyoさんが千葉パルコで行ったサイン会に行ったことあります。
kyo 行った?(笑)
tsubaki はい(笑)。あと森重さんは、最近SIONさんとやってるライブとかAX(SHIBUYA AX)とか行きました。なので別の意味で僕も昔から知ってるんです(笑)。ZIGGYの頃から歌が上手くて、“すげぇ人だな”って思ってました。印象はテレビの人とか雑誌の人っていう感じだったんで、今回このお話をいただいた時はもうビックリしました。kyoさんもD'ERLANGERの頃から知ってるんで、今すごく緊張してます。ちなみにビデオとかもいっぱい持ってます(笑)。
一同 (笑)。

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新宿LOFT
森重 ここに移る前の小滝橋にあった頃のLOFTは老舗で、当然アマチュアの自分達には敷居が高くて、初めて出たのは18歳ぐらいかな? しかも昼の部しか出られなかった。デモテープ持って行っても突っ返されたりとかしたし。でも逆に“ナニクソ!”って思ったし、LOFTのステージに上がる事って一つのステータスでもあった。今はLOFTも移転して、キャパ的にライヴハウスっていうより小ホール扱いになりつつあるでしょ? でもこれぐらいのキャパってやってる側もすごい楽しいし、近さを感じるんだよね。
kyo うん、そうなんですよね。
森重 今回のイベントでもそうなんだけどさ、異世代じゃんか。少なくとも10個ここでは違うんだしさ。俺さ、自分の贔屓のバンドしか観ないお客さんってどうなんだろう? とやっぱり思うんだよなぁ。イベントって、それなりにお金払って来てて、短い時間ながらもみんなが一生懸命やってさ、少なくとも喧嘩し合う為に来るわけじゃないからさ。みんな“イベントを盛り上げよう”って自分達なりのやれる事を精一杯やってる。“ロックってカッコイイね!”とか“バンドってカッコイイね!”とか、そういう物を発していけるような環境にイベントがなればいいなって思うよね。
tsubaki 確かにそうですね。あとLOFTと言えば、やっぱり憧れのライブハウスですから。僕らが見てきた人達はみんなLOFTに出てたし。前の西新宿にあった頃のLOFTに初めて出た時は、歌いながら「俺LOFT出てるわ!」って感動しましたもん(笑)。新しくなってからもちょこちょこ出さしてもらってはいるんですけど。都内にはいろいろライヴハウスがありますけど、今でもやっぱり僕の中ではLOFTは特別な存在です。
kyo 俺、「意外」って言われるんですけど、旧LOFT出た事ないんですよ。
森重 え? そうなの?
kyo はい、実はなくて。でもいろんなバンド見て、「LOFTのバンド」っていうのはやっぱりあったんですよね。「このバンドはLOFTで観るバンド」みたいなのがあって、そういう所で影響は受けてきてますけどね。なので俺は逆に旧LOFTはオーディエンスとしてしか参加した事がないので、逆にこっちの10年経ったLOFTで、俺が感じたものを与えられる場所にしたいなっていう想いですね。あと出演者が憧れる場所であってほしいかな。
森重 でもこっちがもう10年なんだっていうのは凄いね。
kyo ですねぇ。
tsubaki 本当ですよね。
森重 ビックリ。俺はすっげー観たな、前のLOFTでも。それこそ44MAGUNAMの「殴り込みギグ」も観たし、いろいろ観たよなぁって思う。
kyo あの頃、ライヴハウスっておっかないイメージありましたよね、なんか危ないイメージが。
森重 うん、そうだね、まだあったね。
tsubaki 中でも特にLOFTは恐いイメージがありましたよね(笑)。
kyo そう、あったよね(笑)。
森重 LOFTは俺の世代だと、ライヴ終わった後みんな飲みに来たりとかそういう感じだったしね。
kyo そう、ライヴが終わると「メンバーが飲みに来てるみたいよ!」って言われて“行ったら会えるかな?”とは思うんだけど、恐れ多くて結局行けなくて(笑)。だから“俺もそこまで上に行ったら飲みに行けるようになるんだ”みたいな、そういう敷居があったというか、そういうイメージです。俺出てないからそういうイメージの方が強いんですよ(笑)。
tsubaki あぁ、確かにそういうイメージはありますね(笑)。
森重 俺は、もう長年のパートナーの戸城君(戸城憲夫)とも松尾君(松尾宗仁)とも旧LOFTで最初に会ったんだよ。まぁだから出逢いの場所っていう事で、飲んでる席でもいいから、これからも多くのミュージシャン達がここで意気投合して、新しい事が始まったりしてくれたらいいなって思うよね。LOFTの名に恥じない素晴らしいバンドがたくさん出てくれる事を祈りつつ、少なくとも楽屋で携帯の電波入ってほしいなっていう…。
一同 (爆笑)
森重 それだけはLOFTに一応気持ちとして伝えておきたいかな(笑)。スタッフも楽屋が一緒じゃない? 俺が外にいて、中にいるスタッフに伝えたい事がある時に限って繋がらなかったりするので、出来ればスタッフを呼び出せるように携帯の電波を…(笑)。
一同 (爆笑)

「自分が観てたバンドに育てられる」
森重 今って楽しい事がいっぱいあるよね。今の人達にとっては安易で楽しい事が俺らの世代より多いんだろうなって思う。俺らの時代なんて探さないとなかったし、街を歩いていてもカッコイイ服なんてなかったし、普通に駅前のビルにこじゃれた物なんて一個もなかった。身に付けるもの一つにしてもそうだけどさ、自分のセンスってそこで磨かれたって言うか、そこで自分も育ってる。言ったら、昔LOFTで観たいくつかのバンドに自分は育てられているんだよね、そういう価値観含めて。そういう意味で啓蒙していかなかきゃいけない歳になっちゃったから嫌になっちゃうんだけどさ(笑)。出来れば俺はそういう立場になりたくないんだけど、それはしょうがないよね。
kyo でも森重さんが言うように、「自分が観てたバンドに育てられる」っていうのはすごくありますよね。だからこういうイベントで、無差別な入口というか、扉が大きく開いている所で触れてもらって、それこそ目当てのバンドだけじゃなくて、イベントというものを楽しめると、きっともっともっと盛り上がるんだろうし。そしたらきっとそこからバンドを始める子も出てきますよね。そういう楽しみ方が出来ればなと思いますね。昔確かZIGGYの渋公だったと思うんですけど、停電かなんかで音が出ないライヴがあったんです。普通なら中断するじゃないですか。でも森重さんね、その時アコギ1本持って歌ったんですよ。
tsubaki ほー!
kyo で、そのトラブルを繋いだっていう。
tsubaki 貴重なライブですね。
kyo 何て言うんだろう、もう絶対的だったんですよね、それが。当時のメンバーには「お前にそれが出来るの?」みたいに煽られましたけど(笑)。
一同 (笑)
kyo 「ちょっと待ってよ! その前にギター練習しなきゃ!」みたいな(笑)。でも何て言うんだろうな、歌が上手い人っていっぱいいると思うんですよ。でもそういう所じゃない。歌は勿論上手いんだけど、アコギ1本持って立った時にもう空気を創ってしまって、逆にトラブルラッキーみたいな。それはすごく印象に残ってるし、自分自身もそれをやろうっていう方向に行ったわけではないけど、すごく勉強になりましたね。だから森重さんと対談する機会が十何年前にも一度あったんですけど、その時におっしゃっていた言葉がまだ残ってたりする。日本の音楽シーンって、ロックも商品になってきたという部分で、やっぱり若くてピチピチしてるのが商品なわけなんですよね、変な話(笑)。当時、森重さんが「その時よりもどんどん歌を歌えるようになっているのに、歌える場所がどんどん狭まっていくのが、日本の音楽シーンとして面白くない所だ」っておっしゃっていたのを覚えています。ここ数年の森重さんの活動を見ていると、ちゃんと歌える場所を創っていってるんですよね。有言実行っていうか。だから俺も後輩と対談する時には無責任な事を言わないようにしようって(笑)。
tsubaki メモっていきます(笑)。
kyo それはすごくカッコイイ事だと思うし、それこそZIGGYのライブは渋公でも観てるし、代々木体育館でも観てるし、最新作も聴かせてもらってますし、そこには常に森重さんがいるし、ロックなバンドの音があるっていうのにはすごく影響受けますよね。
森重 今ギターの話が出たからフと思ったんだけど、多分俺のスタイル、マイクスタンド1本立てて、その前で楽器持たずに歌うっていうスタイルのシンガーってすごい減ってると思うのね。多分ニルヴァーナが出てきた以降なのかも知れないけど、みんなギターを持ちながら歌うようになったと思うんだよね。ギター弾きながら歌う人の歌って、俺、実はすごく好きで。あれってギターでリズム取りながら歌う人にしかない感じのグルーヴっていうのがあるの。だけど、いわゆるマイク1本持って歌う人間は、逆にオケに対していろんなアプローチがある。何年前かな? そんな事あんまりまともに考えなかったんだけど、5年ぐらい前友達とたまたま話してる時に、ピンのヴォーカル減ってきたなって思った。ただ俺は正直、スタジオにギターとエフェクターを持っていくのが面倒くせーなぁって思っただけだったんだけどね(笑)。
一同 (爆笑)
森重 いや、最初はギターヴォーカルもいいなって思ってたんだよ。俺の最初の憧れは、例えばキッスのポール・スタンレーだったり、ピーター・フランプトンだったり、ギター持って歌うっていうスタイルだったから。だから中学の掃除の時間とかは、ほうきを持ってギターの弾き真似してる口だった(笑)。あれが一番カッコイイと思ってたんだけど、俺はどういうわけだか、結局マイク1本持って歌うっていうスタイルを最終的には選んでしまって。でも俺は“カッコ良さ”というのはたくさんの先輩達を通じて知ってきているから、それはバトンとして次の世代に伝えたい所もあるんだよね。今日kyoちゃんに久しぶりに会うんで、ちょっと音源を聴いてきたんだけどさ。例えばkyoちゃんと昔最初に会った時ね、ものすごい派手で、それこそ千葉のマイケル・モンローだったわけじゃん?(笑)
一同 (笑)
森重 でも解釈が俺とちょっと違ったのは、UK寄りなんだよね、捉え方が。
kyo あぁ、そうですねぇ。
森重 俺はもう少しアメリカナイズされた方向の捉え方をしていて。今あるのか分からないけど、当時は「ポジティヴ・パンク」みたいな言葉があって、それこそD'ERLANGERはそういう方面に対するアプローチもすごくしてて“あー! なるほどね!”って思った。当然カッコイイし、そういう意味で言ったら、まだ若くてピチピチしてたんで(笑)。
一同 (爆笑)
森重 今よりね!(笑) そういうフェロモンも当然あって、そこで女の子が「キャー!」って行く気持ちもすごく分かったんだけど、“kyoちゃんがシンガーとして持っているものって何なんだろう?”って改めて思ったの。で、今日改めて聴いていたら、シャウトした時の声がカッコイイんだよね!
tsubaki あぁ! そうですね!
森重 勿論、メロディーをなぞる部分っていう所でちゃんと歌を歌える人だけど、このシャウトした時のカッコ良さっていうのがkyoちゃんなんだよ。シャウトしか出来ない人もいるんだよ、シャウトしっぱなしの人とかさ(笑)。あと、ちゃんと歌メロをなぞろうとするとシャウトがおまけになってしまう人もいるわけさ。だから“kyoちゃんの何かってココかな”って思って。ある意味、D'ERLANGERはヴィジュアル系って言われるバンドの子達にとっては伝説のバンドで奔り的な存在だったじゃん? 現在の鼻に掛けて甘く歌うような歌い方っていうのは、いろいろみんなも模索して創られてきた日本の一つの系譜だと思うんだけど、“やっぱり叫びのある人の歌は違うよな”って俺は思ったな。今思うとそこだったんだろうなって。じゃないと、いつ行われてるのか知らないけど、毎年毎年ふるいに掛けられて落ちていくわけさ(笑)。
kyo ははは。
森重 それはなぜかっていうと、その限られた椅子には、座るべき新しいピチピチした人達が毎年毎年上がってくるわけで。「どれとどれいらないかなぁ」ってふるいに掛けられるわけよ。死にもの狂いで掴まるヤツもいれば、涼しい顔して乗っかり続けるヤツもいるし。kyoちゃんがこうやって歌ってて、“あぁ、なるほどな、ニヤリ”ってする所はここにありだなってすごく思ったわけなんだよね。俺も何枚か前の自分のソロアルバムでtetsu(菊地哲)にドラム叩いてもらったんだけど、やっぱり今回のD'ERLANGERの新しい音源とか聴いたりするとさ、やっぱり“あいつじゃなきゃ!”っていうのを感じたんだよね。何であいつが数多くいるドラマーの中で、ちゃんと自分のポジションと心情を持ってやってるかって、改めて“なるほどな”と思った。やっぱり理に適ってない事はないと思うんだ。若い時に自分の好きなバンドがあったんだけど、毎月2回か3回ライブをやるわけ。俺はまだZIGGYを始める前だったんだけど、いろんな事を人から盗んでやろうと思って観てたかは分からないけど、たくさん観れば観る程自分の中の引き出しが増えるからさ。学校が高田馬場だったから、終わってからいつも渋谷とか新宿とかのライヴハウスに行って観てた。たまたま贔屓にしてたバンドを観に行った時の事なんだけど、そのバンドは前座だったの。じゃあメインのバンドも観て行こうかなと思って観たら、一発目のイントロ聴いた瞬間に“なんだこりゃ!?”って思って、結局最後までそのバンドのライヴ観ちゃったの。それと同じで、今日短時間で“そうだよな、D'ERLANGERはこういうものを持ってるからなんだよな”っていう事がすぐ分かったの。だからこのイベントの意義もきっとそういう事だと思うんだよね。

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長く音楽を続けるには?
森重 音楽を続けるには、どれだけ好きかっていう事も大きいよね。あと環境かな。
kyo うん、そうですね。
森重 ふるいに掛けられるっていう事は、才能うんぬんの事だけを言ってるわけじゃなくて、環境にも恵まれてるっていう事も大きいと思うんだよ。メンバーも勿論そうだけど、運良く良いスタッフに出会えたり、あと家族とか、友達とかさ。そういうのも全部含めての「ふるい」なんだけどね。好きさ加減で言ったら、辞めていった連中だって俺なんかに負けないぐらい音楽の事好きだったヤツだっていっぱいいると思うし。でもそいつらが亡霊にならずにちゃんと自分の行くべき場所を選んでそこに行くっていうのはすごい勇気のいる事だと思う。もし“自分に才能なんかないや”って思って20代の時に音楽の道を諦めてたら、それはそれで生き方として潔いと俺は思うし。ただやっぱりまだやりきれてない気が自分はするから続けてるんだよね。
tsubaki そうですね、思い返すと僕なんかずっと歌しか歌ってこなかったんで。迷いはいっぱいあったと思うんですけど、特に考える事もなく。でも考えたら好きで歌を歌ってるんですよね。だから今歌えている事にも感謝です。森重さんがおっしゃっていた通り環境もそうで、こうやって先輩に会うのも一つの環境だと思うんですよ。これでまた一つ歌を歌える何かを掴めたらいいかなと思いますけど。
kyo そうだね、その環境とかふるいっていうのは、それこそ冒頭に森重さんが言ってた「人とナリ」っていうのもそこにもあると思うし、勿論出会いっていう運もあると思うし。ただ正直言うとやっぱり“辞めるって事を考えてこなかったから気が付いたらここにいる”って部分もあるんですけど。でもバンドってメンバーがいてバンドじゃないですか。それぞれ取り換えのきかないメンバーのいる音楽の所に自分もハマれているっていうのも環境だと思うんです。うーん、やりきれてない…やりきれてないって言うとまた違うのかも知れないけど、求める物の方がどんどん増えてきちゃうっていうか。
森重 あぁ、それはあるよね。
kyo こういう事が出来たらいいなっていうのが、違う形で出来たり、逆に出来ないものもあったり。まぁ長く歌ってきたんで、歌える事も増えたし、昔よりは「歌」っていうもの自体がきっと分かってきたと思うんですよね。でもそうすると、やっぱり面白いものがどんどん見つかってくるというか。今BUGの他にもD'ERLANGERをやってますけど、17、8年前の曲をやった時に、今更ながら“歌とのアンサンブルがこうだから面白いんだ”っていう事が分かったりしてすごく新鮮だったりする。BUGはメンバーは変わったりしましたけど、もう6、7年経つんで、その中での音の膨らみ方っていうのが面白かったりするし。そう考えていくと“辞める“って考える暇が無かっただけなのかなって(笑)。ある意味、潔く辞めれて別の人生歩めてる人が、正直この歳になると羨ましいなって思う時もありますよ(笑)。
一同 (笑)
kyo 正直あるけど“俺の道じゃないし”っていう所でしかない。
森重 まぁ、あとなるようにしかならないしね。常に4人なら4人のメンバーがいて、“そのバンドに自分が所属しているんだ”っていう意識は持つけれども、“あぁ、やりづれーなぁ”って思う時もあるだろうし、“やっぱりこのバンドのメンバーでいれて最高だな”って思う時もあるだろうし、それはみんなムラがあるよね。でもそこに人としての責任もあるし、だから「バンド最高っす!」っていうレベルじゃないよ?(笑)
kyo ははは! そうですね、分かります、それすごく!
tsubaki はい、分かります!
森重 うん、だから常に愛憎半々だし、“ここ、もっとこう出来ればいいのにな”って思う事もあるけど、それはハナっからメンバーの存在を認めてる所から始まってるから、自分の思い通りになればいいかって言ったらまたそれは違うしね。ZIGGYに関して言えば、21歳の時に自分で詩と曲を書いて自分で歌いたかったから自分で作ったバンド。でも後からメンバーが入って、そいつらには華もあったし運もあったから、結局自分の思い込みだけじゃない所で世の中に出て一人歩きして行ったっていう事もあったからね。だからまた違う所でバンドが勝手に自分から離れて歩いて行っちゃう所はあるかな。ダスボン(The DUST'N'BONEZ)にしてもそうだよね。それこそ戸城君と何年振りかに会って、「俺、本当はこういうのやりたいんだよな」なんて話をした時に、そこでの自分達の目線があまりにも似てて“あれ? この何年間のブランクって何だったんだろう?”って思ったの。で、「じゃあ、やる?」って感じで始まったんだよ。結局そういうもんだよ。だから多分D'ERLANGERをやれない時期もあったと思うんだよね。それはお互いがバンドに対しての温度感とかやりたい事とか、自分自身の事だったりとかするから、一言では言えないんだけど。バンドとはあまりにも複雑怪奇だからね。
kyo そうですね、バンドとは音の化学反応ってなるけど、人間性の化学反応って事もありますからね(笑)。
一同 うんうん。
kyo だから面白いんだと思うけど。
森重 そう、全部が全部、例えば綺麗に混じり合うのがいいのかどうかっていうのも分からないよね。メンバー同士、ジャンケンのグー・チョキ・パーみたいな所もあるしさ(笑)。
kyo そうですね、ずーっと全員が対抗してる時もあれば、全員がバラバラの時や一人だけ負けちゃう時もあるし(笑)。
森重 だから面白いんだよね。でもだからってすごい民主主義なのかって言ったら、それだけじゃない。やっぱり突出した才能も必要だし、ローリング・ストーンズ見たら分かるじゃない? “何気に世界一なのか?”という事を、改めて技量の問題や組織的な事だけじゃない部分のライヴバンドとして見ると、各自のパーソナリティーやメンタリティーを考えるよね。“よくこれで続いてきたもんだな、すげーな”って思う所もある。あとストーンズと俺は同い年だからね!
tsubaki そうなんですか!
森重 うん。だから四十何年間っていう長きに渡って、初期リーダーは亡くなり、いろんな事があり、あれだけいろんな問題やら何やら抱えながらやってるけど、おそらく興行っていう部分においては世界ナンバーワンだろうね、どう考えても。一つの回答ではないかも知れないけど、「バンドっていうものは何ですか?」って言われた時に、我々バンド内にとっては一つの指針になるし、サンプルとしては楽器を持たない人にとっても一例だと俺は思うけどね。
kyo でもこういう所、森重さんは昔から全然変わらないと思いますね。いろんなバンドの名前が出てくるんですよ。いろんなもん聴いてんだなって思う。見る角度が鋭いというか、それは本当に思います。まだ20代30代の時にお会いした時も、「あのバンド知ってる? このバンドはあーでさこーでさ」って普通の会話の中でも出てくるんですよ。だから今話してて、そんなに時間が経った感じしないですもん。あ、良い意味でですよ、勿論!(笑)
tsubaki 俺なんか一緒に話していても未だに雑誌読んでるみたいですよ。
一同 (爆笑)

「求められるものを提供したいという所と
  予定調和を裏切りたいという所のせめぎ合い」

森重 tsubaki君に聞きたいんだけど、キッカケ的に36歳ぐらいだと何が一番カッコイイと思う?
tsubaki 僕は、中学生の時にジャパメタが流行ってたんで、やっぱりLOUDNESSや44MAGNUMとかですかね。そこからバンドの方にグーッと入り込んでいった感じです。
森重 そっかそっか、確かにあれも凄かったもんな。44MAGNUMは最初、JOE(宮脇“JOE”知史)が入る前は、バンド名が「MAGNUM44」だったという事は多くの人は知らないだろう(笑)。
一同 (笑)
森重 LOUDNESSのデビューもビックリしたな。“日本でこういうのも有りなんだ!?”って。後にそのLOUDNESSのディレクターの人と一緒に仕事したりしたんだけど、長くやってるとすごく面白いよね。自分が雑誌と写真でしか知らなかった人と同じ卓を囲んでレコーディングしたりとかさ。
kyo そうですよね、そうやって考えるとイベントとは言え、ライヴを一緒にやるっていうのも考えられないですよね(笑)。やっぱりずっと見てたわけですから。
森重 ほんとほんと。
kyo でもそう、2年ぐらい前にThe DUST'N'BONEZと一緒にライヴやらせてもらったじゃないですか。その時にマネージャーが客席にいて偶然聞いた話で、多分The DUST'N'BONEZのお客さんだと思うんですけど、うちが出演した時に「あれ!? kyoちゃんじゃない? 懐かしい!」って言ってたらしいんですよ。その「懐かしい」は余計なんですけど(笑)。
一同 (笑)
kyo でもそこで、“今こういう所でこういうのやってんだね”っていう広がりのキッカケの一つなんじゃないかなって思って、それ聞いた時にちょっと嬉しかったんですよ。
森重 そのお客さんが言った「懐かしい」っていう言葉にどういう意味が込められているかは分からないけれども、かつてkyoちゃんの存在を見たり聴いたりって事があったという事だしね。特に我々ぐらいの世代になると、女性のファンは「とりあえず育児が一段落したら…」とかそういう人もいるわけじゃない? 「だからしばらくライヴには行けません」とかあるけど、“そりゃそうだろうな、ライヴ行ってる場合じゃねーわ”って思うもん(笑)。出来る時しか出来ない事があるからね。それこそファンが学生さんメインの時は別にライヴの曜日なんて気にする事なんてなかったしね。
kyo うん、そうですね!
森重 ね! 始まる時間とかも考える事なんてなかったけど、今はみんな仕事してるって思ったら、“あーライヴはこの時間からの方がいいよな”とかさ、“曜日はなるべく…”って思うようにみんななってるんだろうなって思う。
kyo そうですね、それは昔じゃ考えられないですよね。だから面白いですよね。さっき言った「求めている事が増えていくんだ」っていうのにも近いんだろうけど、それこそまだ20代中盤ぐらいの時って、どうもアイドル視されているような客の雰囲気があまり好きではなかったんですよ。先輩バンドのDe+LAXを観に行った時なんですけど、客席とステージがすごく良い雰囲気だったんですよ。宙也さんに「良いですね」っていう話をした時に「ちゃんと年齢層が比例してるんだよね」っておっしゃってて。だからまずそこに行くのが目標だったんですよ。で、そうこうしていく内に、比例していくと客がいなくなるっていう現状になってて…(笑)。
一同 (大爆笑)
kyo なので、“また掘り下げて行こう”とか、なんかその繰り返しがちょっと面白いですよね(笑)。ずっとファンで居てくれてる人達っていうのは、こっちも安心感があるし向こうもあるんだろうけど、その中からまだ上にも下にも広がるし、そういう事がすごい面白いなって思って。だからこうやって「ジャンルや世代っていう垣根を取っ払って」っていうのは、そういう部分でも面白いなと思いますよね。
森重 何だろう、そこら辺は変えていきたいしね。求められるものをちゃんと提供したいという所と、予定調和を裏切りたいっていう所とすごいあるし、そのせめぎ合いの中でどうやって新しい所を見せようとか聴かせようとかはすごい考えるし。その予定調和を壊した所に実は新しい人が飛び込んで来てくれたりとか、予定調和の所で昔のファンが納得してくれたりとかっていろいろあると思うんだよね。まぁどっちにしても、こうやって息してステージに上がって、あーでもないこーでもないと歌える事がまだあるという事には単純に感謝だし、それを観に来よう、何とかして時間を作って聴きに来ようとしてくれる人達がいるって事にもすごい感謝だよね。
kyo あと数年前までってこういうものをやってくれる人達もいなかったから、意外に文句言えたんですよね、俺達。「そういうのがねーからこーなんだよ!」って。でもやってくれる人達がいるともう文句言えない、やっちゃわなきゃいけないって(笑)。まぁ割とそれはそれで面白いんですけどね。
tsubaki こういうイベントって何かすごい新鮮っていうか、森重さんもkyoさんも僕からしたらすごい大先輩なんでちょっと世代も違うのかも知れないですけど、僕的には気持ちの根本は一緒だと思ってるんで! 僕らなりの何かを伝えられればいいかなぁと思ってはいるんですけどね。
kyo きっと世代によって見てきた景色って違うだろうからね。それがライヴハウスの会場で一つになった時に、どういう感覚になるんだろう、どういう景色に見えるんだろうっていうのはすごく楽しみだよね。
tsubaki バンド同士でも化学反応みたいのが起こると、よりロックっぽいし。
森重 そうだよね、みんなが自分の利点ばかりを求めるようになるのはつまらないしね。
kyo 俺はずっと後輩だったんで、先輩のライヴを観に行った時は、“すげー気持ち良いんだろうなソコ、いつか俺も!”って観てるじゃないですか。先輩の見てた景色とは全く同じには見えないと思うんですけど、そこに上がったら疑似体験は出来るんですよね。だから逆に後輩の子達が見てきたものっていうのは、もしかしたらそういう同じ所に上った時にしか感じられなかったりもするだろうし。そういう意味では「先輩」って言われる方が増えてきちゃいましたから(笑)。
森重 ホント、俺なんか先輩探すのがだんだん大変になってきたもん(笑)。
一同 (笑)
森重 そういう意味で言ったら、俺なんかは年代的にはジャパメタ世代の一番下ぐらいだからね。俺が一番確認出来たりするのは、そうだなぁ、自分がやってる事に感化された人間が、例えばシルバー作ってたり、洋服作ってたり、料理作ってたり、違う表現方法だったとしても、蒔いた種は全然無駄じゃなかったなってすごく思える。そういう人たちが自分の前に姿を現したりしたら、嬉しかったりもするし。
tsubaki バンドは勿論、音楽関係以外でもいろんな人が聴いていて、いろんな形でリンクしてるのは素晴らしい事ですよね。それは自分でも感じる事はあるけど、歌を歌っている事に関してリンクしている事があるのはすごくいいなぁと思いますね。
森重 始めちゃったものの責任感もあるけどね(笑)。でも、責任を背負いたくて始めた訳ではないから、あくまでも“楽しめればいいな”っていうのは今でもあるんだけどね。ふるいがうんぬんっていう話もしたけどそれは自分がやりたいって思ってるからふるいに掛けられている意識になるんだろうし、辞めちゃいたかったらきっぱり「辞めます!」で良い話だよね。あまりにも「ふるいに掛けられる」っていうと、全く自分に選択肢がないように聞こえちゃうかも知れないけど、kyoちゃんもそうだし、tsubaki君もそうだし、俺もそうだし、これからもっと続いていく今20代の世代もそうだと思うけど、結局自分で選択してるんだと思うんだよね。だから楽しいだけで始められた事に付随してくる楽しくない事に対して、どうやって対処していくかっていう事だよね。これから50歳だ、55歳だってまたまた関所は来るので、それを学習していかねばなと(笑)。
一同 (笑)
kyo あと生む力って大きいですよね。それは森重さんが俺の音源を聴いてくれたっていうのと同じように、さすがに全部は聴けないけどそうやって音を聴いたりとか、話した事を思い出したりとかすると、生む力って何も変わってないですよね、森重さんて。その温度だったりとかに今日また感銘を受けてますね。俺、ラッキーな事に森重さんのいろんな時期を観れてるんですね。そういうタイミングで何回かこういうオフィシャルな部分でもお話する事があって。だからそういう所を見ていると、意識しているつもりじゃないけど、自分も追ってるなっていう部分もあったりするし。“もう満たされたからいいや”って一瞬思ったりしたものでも、“あ、まだこれがあった!”っていう所だったり、そういうものをすごく感じますよね。だから生む力っていう所の視野がきっとすごく広いんでしょうね、森重さんは。そんな気がする。
森重 面白いよね、たかが歌だし。今はカラオケもホントすげーからさ!
kyo ホントですよね!(笑)
森重 みんなきっとすげー上手いだろ、普通に!
tsubaki 上手い人多いですよね!
森重 でも歌が上手いとか、カラオケでみんなを楽しませるコツを知ってるとか、そういう事が自分の中でプライオリティなのかって言ったら、そんなの全然ないから。
一同 うんうん。
森重 俺はそうだなぁ、“楽しいから歌う”って部分は勿論根っこのとこにはあるけど、何だろうね、ワンインチいくらで買える楽しみを誰かに提供する為にやってるわけではないな、やっぱり。だから大袈裟かも知れないけど、歌う事がライフスタイルみたいになっちゃうんだよね。自分が歌を辞めて、マイクをステージに置く時が来るとしたら、それ相応に自分に言い訳をしなきゃいけないし、周りに言い訳しなきゃいけないっていう所には俺ら世代はもう来ちゃってるんだろうなっていう気はするよね。だからこそ逆に若いファンにも聴いてほしいしね。多分100人いて2人もその気になったら凄い事だと俺は実は思うんだ。高校の時の事を思い出すと、俺の行ってた高校で“結構このバンド俺好きだな”っていうのに共鳴してくれるヤツは1人しないなかった。四十何人に1人しかいなかったという事は、200人いたとしたら5人ぐらいか。同じ世代ですらそうだから、もしかしたらもっと少ないよね。でもまぁそんなこんなを繰り返してやっていけばいいんじゃないかな。俺、最終的には駅前で歌ってる連中と肩並べて歌ったって良いなって思ってるしね。もしそこしか自分の舞台がなくて、それでまだ俺に歌う意志があるんだったら全然そこで歌うな、きっと。
kyo うん、そうですね。
森重 自分に名前があろうがなかろうが、きっとみんな一緒だと思う。多分彼らの歌の中にきっと絶対何か感動するものを見つける事が出来ると思う。

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シンガーとしての本望
森重 ライブは、観てる人1人1人がみんな感動したり泣いたり笑ったりする必要はないとは思うんだ。「1曲は3分間の娯楽だ」って言ったらそれまでなのかも知れないけどね。ただその側面にある事を忘れない事も大事なんだよ。だから誰かに伝わらなかったと言って別にしょげる事もないとも思う。ただ俺もあまりにもすごすぎて聴けないものもあったりするよね。聴く度に自分のエネルギーがものすごく要るような音楽っていうのもある。対峙するっていう意味でね。聴き流せるような音楽がいっぱいあってくれるのは逆に言えば幸せなのかも。一つ一つに感動して涙ぐんでたら、俺も前に進めないっちゃ進めないし(笑)。
kyo そうですね(笑)。リスナーでずっといる方が良いっていう場合もありますしね。あとは伝わる伝わらないっていうのは、波長もあるじゃないですか。聴き手側の気持ちもあるんだろうし。
tsubaki またタイミングとかもありますしね。いつも車で聴いている音楽は何気なく流れているけど、例えば女に振られた時にその曲が流れてたら「なんかこの曲って悲しいかも知れない」って思いますし(笑)。
kyo 妙に滲みたりね(笑)。
tsubaki そういう曲って結構思い出に残ってたりとかしますし、“このバンド好きかも”って思ったりする瞬間とかもそうですかね。
森重 あと街の風景とかもあるよね! 初めてのLAでフリーウェイでヴァン・ヘイレンが流れた時なんか、“あー! このバンドってもしかしたらカッコイイかも知れない!”って思ったんだよなー!(笑)
kyo 分かります! 俺もロンドンでラジオからクィーンが流れた時“このバンドは絶対この国からしか生まれねー!”って思いましたもん!(笑)
一同 (笑)
tsubaki シュチュエーションとかもやっぱりありますよね!
森重 うん、そういうのはすっげぇあるんだよな。あと都市への距離感とかでも、音楽に対する厚さというか思い込み感みたいなものってやっぱり違うと思うんだよね。俺は夜汽車に乗らずに東京に出て来れたんだけど、ZIGGYのギターの松尾君は博多からバンド仲間と東京目指して上京してるわけ。そのプロセスってやっぱりすごい違うんだろうなって思うんだよなぁ。音楽をやる時の、胸ぐら捕まれて「おまえの本音って何なんだよ?」って言われた時の、その一番根っこにある部分っていうのは人によって違うし、距離感によっても違うし。だからガッツキ方って言い方はちょっと違うんだけど、なんか実家に寝に帰れちゃう感じってあるんだよなぁ、俺なんか。切羽詰まった時のハングリーさっていう所で言うとさ。
kyo でもその分、絶対違う想いっていうのはあるんですよね。
森重 そうそうそうそう。
kyo なんか俺もありましたね、若い時は。“そういうのがあるから出来ねぇのかな?”って、変に負い目を感じてしまったりとか。
tsubaki あぁ、なるほど。
森重 逆に状況として恵まれてるんだろうけど、でもそれが自分を育ててきたものだったら、それはそれで良いわけで。
kyo だって、みんながみんな全く同じ想いでやりたかったら、同じように上京してきた人だけでやるしかないわけだし。でもやっぱりそうじゃないから、自分の理想のメンバーを探して辿り着いた所で一つの形になっていくわけで。情熱っていうのはきっと天秤で量るものじゃなくて、それぞれにあるから音楽が出来てるんじゃないかな。
tsubaki バンドを例えば4人とか5人で、全員が同じ感情で全員マックスで「最高!」っていう時はあんまりないと思うんですよね。ライブ1本やるしにても、歯が痛てーだの、腹が痛てーだの、女に振られただのってあるけど、“一つのライブを全員で完成させよう”ってみんな思ってる。良い悪いがあったにしてもそれがバンドだから。それを続けて行くと、ある時振り返った時に“あの時楽しかったな”とか“あの時大変だったね”ってなるし、それがあるからまたやれるっていうのはあると思いますけどね。
kyo なんか「助け合い」っていう言葉使うと変ですけど、“弱ってた時におまえが頑張ったから今の俺がある”って事もあったりしますからね、意外に(笑)。助け合いっていうとなんかカッコ悪いけど(笑)。
森重 いやでもホントそうだよね! パーフェクトな人間なんていないし、やればやるほど分かるんだけど、何て音楽やってる人間ってここまでこう…何と言うか…人としてちゃんとしていないなぁと思うんですが…(笑)。
一同 (笑)
森重 割と歪な所を持ってる人たちが多いというかね(笑)。一つの事だけで言うと、すごい長けてるものもあるんだけど、「えっ!?」って言うぐらい不得手な事があったりとかもするしね。でも自分の不得手な部分を得意な人間がフォローしてくれたり、逆に自分が出来る所を精一杯頑張ろうとか、そういうのはあるのかも知れないけどね。まぁちっちゃい世界なんだけどね(笑)。
tsubaki 僕らから見たら、先輩達はもうある種完成されてると思うんですけど、やっぱり満足はしないだろうし、常に今をマックスとは感じないと思うんですよね。
kyo きっと完成してたら、それこそ辞めるかも知れないよね。“一番美しいものを壊したくない、これ以上は出来ない”って思ったら、そういう時が来るのかも知れないよね。
tsubaki まぁでも完成しないですもんね(笑)。
森重 しないしない!(笑)
tsubaki ゴールがないというか。
kyo それは不思議ですよね。このぐらいの歳になったらあとは打線みたいな感じで出来るのかなって思ってたけど、そんな事まるでないですよね?
森重 俺も20代の時は、“30過ぎたら俺の背中は相当哀愁漂ってるな”って思ってたんだけどね、本当は。
一同 (笑)
森重 今思えば30なんて何も始まってなかったね。40過ぎて“何が不惑の年だ”って思ったし、45になって知る事もたくさんあるし。だから終わりがないっていうのは、多分音楽に自分を重ね合わせて一緒に進んでいるからなんだろうね。別にどの道でもそうなんだろうけど。だからスポーツ選手は羨ましいなって思う時があるよ。
kyo うんうん!
森重 ちゃんと勝ち負けが出るから。白黒ハッキリつくっていうね。
kyo うんうん、そうなんですよね!
tsubaki 分かりやすいですもんね。“今日は負けた”とか。
森重 そう、音楽には“負けたから次は勝とう”っていうのはないじゃない? 俺らの点数は観る人によって違うし、自分が100点だと思っても観る人によっては25点と思って帰る人もいるし。あと蓋空けてみない事には今日のライヴが本当に始まるのかどうかも分からないわけでしょ?(笑)
一同 (笑)
森重 楽屋で“もうすぐ本番かぁ!”って思ってるだけで、始まらないかも知れないわけでしょ、本当のとこ言うと。みんなフラフラ外に出て行って戻って来ないかも知れない、俺が戻ってこないかも知れない。分からないわけじゃない? だからその緊張感っていうのはやっぱり常にあるよね。そのライヴが終わる瞬間までそれはある。
tsubaki でも多分死ぬまで歌を歌ってるんじゃないかなとは思いますね。歌はどこでも歌えるんで。
kyo 確かにね。歌はどこでも歌えるし、誰にでも歌えるし。
森重 願わくば(笑)。
kyo 「願わくば」ですよね、ホントですよね(笑)。
森重 自分の努力で出来る事はみんなしてるわけだし、それ以外の事で出来なくなる事も有り得るからね。だから、昔だったらキレていたような瞬間がやっぱり今でもライヴでもあるけど、“あぁ、でも今日俺ステージ上がれて歌えてんじゃん”って思ったらやっぱり“ありがとう”ってなるしね。
kyo うん、そうですね。
森重 “でももしかしたら今日の帰り道に交通事故でサヨナラかも知れないな”って思ったら、“今日が最後のライヴになるかも知れない”って思うしね。っていうか思うようになった。何年か前に足の骨を折ったんだけど、それがツアーの前日だったもんだからツアー何本かキャンセルして延期せざるをえなかったんだよ。俺はもうやる気満々で体鍛えて“今回のステージはキツイからもっと自分を追い込んでやろう”って思ったんだけど、結局身体の方が自分が思っている以上に疲れてたんだよね。だから心に体が負けてライヴを飛ばさざるをえなかった時に、自分の信念が何だ想いが何だっていうのも勿論大切に思ってるけど、俺は不可抗力や不慮の事って起こり得るんだなって思った。昔は「死ぬまで歌いますよ」って軽い気持ちで言えたけど、今はそこまで軽い気持ちで言えなくなっちゃった。だから“次の1本を精一杯やろう”っていう感じ(笑)。次の1本が積み重なって100本になってくれればいいし、その100本だか1000本だか積み重ねた時、その先にあるのは自分の死であってくれたらそれはシンガーとして本望だよね。

4/5イベントへ向けて
tsubaki 今回お誘いいただいて単純に嬉しかったし、こういうイベントをどんどんやっていってって欲しいとLOFTさんには思います。今回は森重さんともkyoさんとも面識はなく初めて一緒にやらせてもらうんですけど、お客さんにも観てほしいですね。何て言うんだろう…うーん、頑張ります!
一同 (笑)
tsubaki 僕個人的にもいろんな想いもあってやらせていただくんで、カテゴライズされた何かを取り払って観てほしいし、僕もそういうものを抜きにして伝えていけたらいいなと思ってますので、宜しくお願いします!
kyo そうですね、イベントの場合って、知ってるバンドの場合は別ですけど、意外と当日まで会ってみないとどんなバンドなのか分からないっていうのも多いんですよね。今回はまだ時間があるけれども、事前に出演者として想いの話みたいのが出来て、そういう意味ではまた今日いろんなものが生まれたりしてると思うんですよ。勿論このイベントまでの間にもいろんな活動はしてますけど、この生まれた想いだったりを自分達の活動と共に育てて、4/5に素敵な子として産み落とせればいいかなというのを強く思いました。やっぱり事前にこういう話が出来るとちょっと特別なイベントになりますね!
森重 そうだね、前振り的なものがあるイベントってないもんねぇ。
kyo ないですよねー。
森重 だからそれは“そっか、こういう事なんだな”ってすごい思った。でもやるからには、ステージ始まっちゃったら全員ぶっ殺すつもりでやるけど(笑)。
一同 (笑)
森重 でもこれはしょうがない!(笑) いくら温厚な事言ってても、もうマイクの前立ってスイッチが入ればそれぐらいの気合いになっちゃうだろうなって思うし。だから一緒にやる共演者と事前に話が出来るなんて粋な計らいだと思うし、すごく嬉しいよ。だからその前振りを持ってして、お客さんが俺達以上にこのイベントを盛り上げようとしてくれたらいいなって思うね。やっぱりライヴって俺達だけじゃ作れないものでしょ? スタッフだけでも作れないしね。だからこそ俺は良いオーディエンスが育ってってくれたらいいなって思う。それは自分の為にもなるんだけど、本当にそう思う。自分が“良い”と思ったものを、素直に認めてくれる心の大きなオーディエンスが一人でも増えてくれる事を願うし、その自分がカッコイイと思うものが、“テメーら全員ぶっ殺してやる!”ぐらいのつもりのものであったとしても、俺はいいんじゃないかなと思ってます。



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http://www.dustnbonez.jp/
http://www.the-prodigal-sons-japan.com/ (THE PRODIGAL SONS)

■BUG最新情報
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2/28(土) HEAVEN'S ROCKさいたま新都心VJ-3
3/07(土) 大阪心斎橋CLUB DROP
3/08(日) 名古屋アポロシアター
3/14(土) 新潟CLUB JUNK BOX
3/19(木) 札幌KRAPS HALL
3/28(土) 横浜ドラゴンクラブ
4/05(日) 新宿LOFT (※イベント)
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※イベント、対バン募集中(笑)
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